Whatever!

ミニチュア制作記録。たまに大きいものも。

発泡スチロールで岩を作る時の覚え書き

頼まれて岩を作ることになった。気付いたことなどを今後のためにメモしておく。写真をアップできればいいのだけれど、一応仕事で作ったものなので、念のため控える。

イメージを固める

岩の写真を参考にしつつ、どんな形にするか大まかに決めておく。岩の形をパントマイムで再現してみたり、毛布を粘土がわりにシミュレーションしてみたり。忘れないようスケッチを描いておく。

岩も色々な種類がある。種類によって特徴が大きく違うのでよく観察しておくこと。

今回は変成岩の写真を参考に作った。層が積み重なったような形が特徴的で再現しやすく、岩らしさを出しやすいと思う。成形も層の方向を意識すると形が出しやすい。

成形

鋸で50cm角の発泡スチロールを切るがかなり固い。断熱材カッターをコンロで10秒ほど炙って切るとチーズのようにスパスパ切れるが匂いがひどい。炙る時に刃に付いたプラスチック?が燃えてヤバ気な煙が出る。

鋸で切った面は凹凸が出る。カッターで切った面は摩耗したように滑らかになる。イメージに合うよう両方のバランスを取る。

大まかな形を出せたら、熱しない断熱材カッターでシルエットのディテールを出していく。

柄が木製なので気兼ねなく炙れる。波刃と直刃、先端の短辺も刃になっている。

刃にプラスチックが付くとべたついて切れが悪くなるので、炙って溶けたところをキッチンペーパーで拭う。ペーパーは角材などの角に置き、ナイフを角に当てるようにしてこそぎ落とす。手で拭おうとすると間違いなくやけどするので注意。使用後も同様に綺麗にしておく。

岩らしく見せるカット

垂直か末広がり気味にカッターを入れた後、ほぼ水平に刃を入れ、段差を作る。刃先は地面とほぼ平行に。小さい段差なら、垂直に入れた刃で折り取っても岩肌っぽい凹凸が残って良い。鋸の刃でついた溝なども味として残してみても面白い。

機械でカットされた直角や平面は極力残さない。平面は大きく浅くV字のカットを入れたり、なだらかに斜めに削ぎ落してみたり、ナイフの刃を反らせるようにしてえぐってみたり。直角の角は、接地面を含めすべて落とす(地面に埋まっている設定なら別)。落とす時も規則性が見えないようあれこれ角度を変えて、直方体の名残を残さないよう注意する。

それと同時に、岩のどっしり感やカタマリ感を失わないよう注意。逆テーパー(地面に近いほど細くなるような形状)や不自然に深い切れ込みは作らない方がそれっぽい。実際の岩にはそういう不自然な形状があったりするけれど、これは作りものなので「絵にかいたような岩」を目指した方が自然な出来になる。

 着色

塗装はアクリル絵の具でハケ塗りが感じが出て良い。絵具は厚塗りするといかにも絵具を塗りましたという感じになるので、ビシャビシャくらいで丁度よい。厚くなってしまったら、水をつけたハケでこすり、発泡の地が見えるくらいまで絵具を落とす。

薄くていいのでとにかく地の白が残らないよう、角度を変えてチェックしながら塗りこむ。地面に接する面も周囲5cmくらいは色を入れておく。

基本のグレーで全体を塗ったら、少し青と黄色と黒を足して苔っぽい色を作り、ところどころ重ねていく。これもビシャビシャで良いが、塗り広げるのではなく、ハケにたっぷり取って、叩きこむ感じで色を乗せる。自然と周りと馴染んでいくし、垂れた感じも雰囲気を出してくれる。主に地面に接する部分、くぼんだ部分などに重ねてみたらいい感じになった。

今回は草原の上の岩という設定なので薄い苔の色を重ねたが、置く場所の設定によって色に変えるといいと思う。土の上なら彩度を落とした黒目の茶色、砂漠の岩なら明るい黄土色など。背景から岩が浮かないよう、背景の色を重ねて馴染ませる感じが良いかと。

手元にパールホワイトの絵具があったので、少し混ぜて色を明るめに調整し、ハイライトになる部分に乗せてみた。このパールホワイトは不透明感があまりなく、単色で塗ると地が透ける。パールパウダーを水糊でこねたような質感のものなので、絵具の種類によってはうまくいかないかもしれない。 乗せる個所は、光がずっと当たっているであろう天辺部分と、摩耗で艶が出ていそうな部分。くぼんだ部分に流れ込まないよう、ハケにつける絵具の量を調節した。

仕上げ

ビシャビシャの絵具で塗るので色の層が薄いため、乾いた後、保護としてトップコートを吹く。MR.HOBBYの半光沢トップコートを使用した。あまり均一にならないように、擦れやすそうなところは厚めに、それ以外は適当に手抜き。

 とりあえずこんなところ。